モン族の「リバースアップリケ」の作り方
モン(Hmong)族の人たちが得意とする「リバースアップリケ」は、重ねた布の上の布に切り込みを入れて、その切れ端を小さく内側に折り込みながら、土台となる下の布に、小さくまつり縫いしていくものです。
と、文章で作り方を読んでも、なかなかその奥深さ、繊細さをイメージしていただくのは難しいものです。
一見すると一枚の布に見えたり、写真で見るとただの平坦な布の模様に見えてしまったり…。
そこで、「リバースアップリケ」の作り方を、各過程ごとの写真でご覧ただけたらと思います。
まず、布を正方形に切り、三角に折りたたみます。もう一度三角に折り、さらにもう一度折ります。
折り目をしっかりつけ、仕付け糸で縫い合わせておきます。
初めに準備する正方形の布は、作りたい模様によって大きさを変え、その折り方も変えていきます。
今回ここでは、モン族伝統模様の「象の足跡」の場合です。
仕付け糸で固定したところに、糸巻きの底を使って円を描きます。その円に沿って切り込みを入れ、らせん状に切っていきます。
布に入れ目を入れ終えたら、仕付け糸をはずします。折りたたんだ布を広げると、左右対称の文様が出来上がります。
切り込みを入れた布を、土台となる布の上にのせ、模様を整えます。
きちんと重ねたら、動いてしまわないよう、しっかりと仕付け糸で土台の布に縫い付けておきます。この時、上の布の模様が歪んでしまわないよう、また、模様を縫い付けたい土台の布にしっかりと固定させて、仕付け糸で縫い付けておきます。
布のまわりも、模様の部分もしっかりと固定したら、布の切れ目に沿って、針の先を使って小さく内側に折り込み、土台の布に細かくまつり縫いしていきます。
その時に利用する糸は、布と同じ色のミシン糸1本を3本にした極細の糸を使うことで、まつり縫した後の糸がほとんど見えないようになります。
すべての切れ目の端を縫い終わると、土台の布の色が表に出て、文様が浮き上がってあらわれてきます。
「リバースアップリケ」は、下の土台となる布の色が均等に、並行して表にあらわれるようにすることがポイントです。
まつり縫いする際に、布の切れ端を均一に折り込まなければ、きれいな文様にはなりませんし、表から見えないように、細かく丁寧にまつり縫いしていかなければ、きれいな仕上がりにはなりません。
モン(Hmong)族の人たちは、リバースアップリケや刺繍などの技術にたけており、現在のような既製服に替わる前には、自分や家族の着る服は、すべて自分たちで作っていました。
けれど、それをどれだけきれいに作ることができるかには個人差があり、モン族の女性たちなら誰でもが、きれいに作れるというわけではありません。
その中には、この「リバースアップリケ」を作るのが上手な人だったり、「刺繍」の方が得意という人がいるのです。