ラオスのフェアトレードショップから依頼のアップリケをつくる

リバースアップリケ

ラオスへ帰還したモン(Hmong)族の人たちを支えるフェアトレードショップ

アジアの手しごとが好きで、ラオスを旅したことのある方の中には、首都ヴィエンチャンにある「カマ・クラフト(Cama Crafts)」というフェアトレードショップを訪れたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
このお店は、1970年代のラオス内戦でタイの難民キャンプに逃れたモン(Hmong)族の人たちの支援から始まった団体が運営するお店です。

90年代初頭に難民キャンプが閉鎖される頃には、第3国へ定住するだけでなく、ラオスへ帰還する人たちも出始め、「カマ・クラフト」もヴィエンチャンに拠点を移し、帰還難民の支援を開始しました。
難民キャンプからラオスへの帰還を希望した多くのモン(Hmong)族の人たちに与えられた土地は、彼らが望む豊かな土壌の山岳地ではなく、ヴィエンチャンなど都市郊外の農業には適さない痩せこけた土地ばかりでした。

そんな彼らの限られた現金収入の一つが、難民キャンプにいた時と同様、主に女性たちがつくる刺繍やアップリケなどの手工芸品でした。
「カマ・クラフト」では、そうしたモン族の刺繍やアップリケを買い取り、バッグやポーチなどの製品に仕立て、販売することで、今でも帰還難民の生活を支え続けています。

今では、主にアメリカやヨーロッパなどと取り引きをする大きな団体へと成長し、日本の老舗NGOなどとも取り引きをしており、ある程度の安定した販路をもっています。

『織り人(Orijin)』が活動を始めた当初、フェアトレードショップのご紹介程度ではありましたが、いくつか大手フェアトレードショップの製品も販売していたことがあり、その中に「カマ・クラフト」の製品もありました。
しかしながら、個人で活動している『織り人(Orijin)』のような小さなお店の入る余地はあまりなく、『織り人』では、できるだけ生産者さん自身も個人でやっているような小規模の活動をしている方たちとつながりを持つようにしてきました。

ラオスのモン(Hmong)族の人たちとできることを

数年前、タイの難民キャンプからタイ北部の村へ移住したモン(Hmong)族の家族と、ラオスにいるその親戚を訪ねたことがありました。
その村は、ヴィエンチャン中心部から30kmほど北部へ向かった平地に作られた村で、難民キャンプから帰還したモン族の人たちの村ではないのですが、ラオス内戦中、国内を転々と逃げ回らざるを得なかったモン族の人たちが、戦後、ラオス政府に与えられた新しい土地でつくった村でした。

その村に滞在中、親戚のおばさま方が、「カマ・クラフト」からオーダーのアップリケを作りながら、いろいろと相談をしていました。

都市近郊の村での生活は、アップリケや刺繍づくりだけで生活していくことはなかなか難しく、若い人たちは皆、都市での仕事へ出かけていきますし、刺繍やアップリケをしているのは高齢の女性ばかりです。
この世代の人たちがいなくなってしまったら、急激にモン(Hmong)の手しごと文化はなくなっていくことでしょう。

それでも、経済発展の著しいタイでもそうですが、そんな中でも、モン(Hmong)族の誇りとして、刺繍やアップリケの文化を残していきたい、やり続けていきたいという若い世代が、この村にもいたのです。

『織り人(Orijin)』が目指すのは、そういう想いをもった民族出身の人たちが自らの文化に誇りを持ち、次の世代へ継承してけるような社会をつくることです。
『織り人』の原点であるラオスでも、そうした想いをもった人たちがたくさんいることを知り、そうした人たちとも一緒に、新たな”ものづくり”を始められないかと考えています。

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