難民キャンプでうまれたモン族のライフシーン刺繍
モン(Hmong)族は長い間、山の自然に宿る精霊を信じ、山の斜面に焼畑で米やとうもろこしを作り、山の中で、自然とともに、山とともに生活していた。
しかしながら、ベトナム戦争と同時期におこった政権争いのラオス内戦に巻き込まれ、ベトナムや中国が支援する政府側とアメリカが支援する反政府側とにわかれ、多くが反政府側の兵力に組み込まれ戦った。
そのため、ラオスが社会主義となった1975年以降、多くの人々が難民として、隣国のタイに難民として流出した。
その後、多くのモン(Hmong)の人たちが、難民キャンプを経て、アメリカ、フランス、オーストラリアなどに移り住んでいるが、現在でもタイ国内では、ターク県、ナーン県、チェンライ県、ピッサヌローク県、ペッチャブン県などに多く住んでいる。
モン(Hmong)族の人たちは、もともと文字を持たなかったため、こうしたモン族の歴史や民話などを、自分たちが得意とする刺繍であらわしてきた。
ラオスから逃れ、山の中を何日も歩き逃げる様子、国境のメコン川を竹を浮き輪代わりに両脇にはさみ国境のメコン川を渡りタイへ逃れる様子、アメリカやフランスなどの第三国へ定住するために飛行機に乗り込む様子、モン族の生活のワンシーンを刺繍して、タイの難民キャンプで販売するようになった。
文字の代わりに刺繍であらわすことで、民族の歴史や誇りなどだけでなく、モン(Hmong)族の伝統技術を次の世代に伝えていくことにつながっていったのである。
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