『織り人(Orijin)』オリジナル製品づくり始まりの刺繍

『織り人』プロジェクト

『織り人(Orijin)』オリジナル製品づくり始まりの刺繍

 『織り人(Orijin)』開店当初からの製品のひとつ、モン(Hmong)族のクロスステッチ刺繍のミニペンケースは、10cm×20cm程度の長方形の刺繍布を使っていますが、これは、あるモンの村で刺繍布が、山のように余ってしまっていたことから始まりました。

 なぜ、同じ柄、同じサイズの刺繍の布がこんなにたくさん、使われずに残っているのだろうか…、と不思議に思って話を聞くと、ある団体からの注文に備えて、村の人たちが作り置きしていたものだというのです。

 本来ならば、オーダーがきてから作り始めれば、このような事態は防げることかもしれませんが、一つひとつ手刺繍しているため、大量の注文にこたえるためには、ある程度、刺繍布を作りためておく必要があったのです。

 その村に製品をオーダーしていた団体も、その村の人たちの生活を支えることを目的に活動しており、無理を強いていたわけではないと思うのですが、村の人たちもせっかくの機会を逃したくない、納期のある注文にこたえていくためには、次の注文があるかどうかわからない状態であっても、事前に準備しておかなければならないのです。

 そこで、まずは、その行き場を失った刺繍布を使って、“何を作るか”ではなく、“何が作れるのか”ということから、『織り人(Orijin)』の初めての製品づくりが始まったのです。

 モン族の刺繍の製品は、大きな刺繍布をまず作り、それを必要な大きさに切って使っているところが多く、モンの市場などでも、刺繍布が反物になって売られていたりします(トップ1枚目の写真)。

 その方が、いろいろなデザインのものを作ることができ、作りたいものを作りやすいのですが、それでも私は、ひと針ひと針、手刺繍しているところを見たあとには、刺繍された布にハサミを入れることができませんでした。

 今、『織り人(Orijin)』オリジナルとして作っている製品はすべて、まず何を作るのかデザインを考え、そのために必要な刺繍やアップリケのサイズを、村の刺し子さんたちにオーダーして作っています。

 同じ刺繍の製品であっても、その刺繍布の背景にあるもの、つくり方や想い入れの違いなど、そうしたことも、みなさまに伝わっていくようなものが作れたらいいなと思っています。

 こうして完成したモン(Hmong)族の刺繍のミニペンケース、今では、このサイズに合わせて刺繍してもらい、作ることができるようになりました。