モン(Hmong)族の大柄の文様について

刺繍

アップリケや刺繍、手織りや染めなど、伝統の”手しごと”というのは、時代とともに、そこに関わる人たちは少なくなっていってしまう。

モン(Hmong)族のアップリケも、昔は誰でもができるものであったけれども、最近では、刺繍たっぷりの既成の民族衣装一式を買ってくることもできるし、ミシン刺繍でつくられたワッペンを買ってきて、服に縫い付け自分好みの衣装をつくることもでき、自分で刺繍やアップリケからつくる人はどんどん減ってきている。

現在のつくり手さんたちも、高齢の方が多くなり、刺繍をする時の布目も大きなものをつかっていたり、アップリケの文様も大柄なものをつくる人も多くなってきている。

写真からもわかるくらいの大きな布目の刺繍布。仕上がりも大柄の文様に仕上がる。

『織り人(Orijin)』でつくってもらっているモン(Hmong)伝統文様のリバースアップリケのバッグも、最近、いつも作ってもらっているアップリケよりも、個々の文様が大きなものがいくつか含まれていた。

そのアップリケを作ってくれたのは高齢の方で、老眼鏡をかけても、細かな作業はなかなか大変になってきているという。
こうして、どんどんつくり手さんがいなくなってしまうのだな、と時流の変化を強く感じている。

モン(Hmong)のプリーツスカート用の刺繍も大きな目の刺繍布に太い糸で刺繍していく。

大柄のアップリケも迫力があってよいと思うのだが、模様によっては小柄な方が、かわいらしさがでることもあるし、バッグなどのデザインに合わせて模様の大きさにも変化をつけている。

基本的には、刺繍やアップリケ自体の大きさが、製品になった時の価格を左右する要素になる。
製品の価格としては少し高くなってしまうが、同じアップリケの大きさでも、小さな柄の方が、それにかかる時間と手間は増えるので、つくり手さんたちにはその分、多く支払うことができる。

最近は大きな目の布だけをつかって刺繍しているという。

ここ数年、村で刺繍をしているおばさまたちの様子をみていると、大きな目の刺繍布をつかっている人が増えている。
モン(Hmong)の人たちは、細かな刺繍を布面にぎっしりとほどこすのを好み、普段『織り人(Orijin)』では、ポーチなどの小物も多いので、通常サイズの小さい目の刺繍布をつかってもらっているが、将来的には、大きな布目の刺繍をつかった製品も考えていかなくてはならないだろう。

モン(Hmong)の人たちだけでなく、どこの国や地域であっても、手しごと文化はつくり手さんたちの事情や好み、世の中の流行りにより、年々変化していき、そのスピードはかなり速くなってきているように感じる。