実用的なものから考え出される新しい刺繍文様

モン(Hmong)族の新しい刺繍文様のモチーフとなった意外なものとは?

モン族の刺繍文様には、昔から代々引き継がれている伝統的な文様と、新しく考えられた最近の文様とがあります。
『織り人(Orijin)』では、昔からのものも、最近のものも両方とも、モン族の文化として大切だと考えています。

初めの頃は、刺繍をしている人たちに出逢うと「この文様はどういう意味ですか?」と聞いていましたが、
「知らないね~。昔からずっと刺してるからね~。」と、ほとんどの人が同じ応えで、文様の意味までを知っている世代は、もうあまり刺繍をしていないのだということがわかってきました。

『織り人』で刺繍をしてもらっているモン族の女性も、50歳代くらいですと、もうその意味までは知りません。
それよりも下の世代になると、昔の文様はあまり好まなかったり、自分で新しい模様を考えたりする人もでてきます。
どこかで見かけたかわいい模様や、道端で見かけた花をモチーフにした模様など、新しい模様がたくさん出来てきています。

『織り人』としては、昔からの文様やモン族に代々伝わる文様がどんなものなのか知りたいと思っていましたし、それを復刻させていくこともやりたいことの一つであり、大切なことだと考えていました。
でも、最近思うのは、昔の当時の人たちも、その昔の文様の意味を知らなかったり、きれいだなと思うものを真似してみたり、新しい文様を考え出したり…、長い歴史の中で常に起こってきたことであり、昔も今も同じなのだと。
そうであれば、今、古いものなのか、新しいものなのか、ということにこだわるよりも、今つくられる文様について調べていくことも、興味深いことかなと思っています。

最近では、新しい文様についても、いろいろと聞いてみるようになりました。
比較的新しい文様には、かわいらしい花をモチーフにしたものが多いですが、その他にも、新しい文様でありながら、そのイメージはモン族伝統文化と切り離せないものであったりすることも多くあります。

そして今日ご紹介するのは、”えっ?!、こんなものから考えたりするの?!”と、ちょっと新鮮な驚きのあった文様をご紹介します。
この文様は、何からイメージしたものでしょうか?

 

一番上の写真とどんな関係があるのだろうか?お肉の文様?、とお思いになった方もいるかもしれませんが、この文様は、干し肉を作るためにかけている二股にわかれた木の枝の部分をあらわしていのだそうです。
こうして肉を干したり、洗った鍋をかけておいたり、便利に使えるものです。

こうした実用的なものをモチーフに、考え出される文様もあるのか、とちょっと楽しくなってきました。
実用的なものとは、普段の生活の中で日々つかわれているものであり、とても身近な存在であるから、きっと自然にそういうものからイメージする文様というのがあるのだと思うのです。

新しい文様にも、興味がわいてきて、いつも「これは、何?」と聞いていると、時には、何をイメージしたでもなく、ふっと湧いてくるものも多いようで、「う~ん…」と困らせてしまうこともしばしば・・・。

でも、ふっと浮かぶ文様も、きっと日々見ている何かからきていることは間違いないのです。
そう思うと、新しい文様にも愛着がわいてきて、興味は尽きません。

モン族の新しい刺繍文様のモチーフとなった鍋などをかけておく枝