モン(Hmong)の人たちにとって、帽子は欠かせないもの。民族衣装を着る際に、帽子がないと何かが欠けている、完成していない感じがするという。
赤ちゃんの帽子も、昔、背中に負ぶられ畑に出る時、夏の強い日差しや山岳地の冬の寒さ、蚊などから守るためにも欠かせないものであったという。
赤ちゃんの帽子は、モン(Hmong)伝統の負ぶい布と同様に、代々、母親だけでなく、父方母方のおばあちゃんだったり、親戚のおばちゃんたちが産まれる前から作っておいてくれて、遊びに来る時、お祝いに持ってきてくれたりするのだという。
モン(Hmong)の帽子は、豪華なアップリケと丁寧な刺繍でおおわれていて、特に、女の子の帽子には、雄のニワトリのトサカをモチーフにしたイー(モン語:Ib)と呼ばれる角のような部分が付いていて、ゴーモーイー(ko mom ib)と呼ばれる。
男の子用の帽子には、そのトサカはついておらず、トサカのある帽子が女の子用なのだという。
今の若い世代では、なぜ女の子の帽子だけにトサカをつけるのかは、よくわからないようで、”きれいに飾り、かわいく見せるためではないか”、ということであった。
もともと、モン(Hmong)族の刺繍やアップリケは、そのものを美しく見せる、という意味合いはもちろんのことではあるが、それ以前に、魔よけであったり願掛けであったりと、モンの人々の生活に密接にかかわる深い意味のあるものなのである。
おそらく、赤ちゃんを悪いものから守る、特に女の子は雄鶏のトサカを飾ることで悪霊に連れていかれないように…、といった意味があるのではないかと推察する。
今度、おばあちゃん世代にも、もう一度、話を聞いてみようと思う。
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