おしゃれなリス族の民族衣装

リス(Lisu)族

リス族の女性の民族衣装は、長袖のロングワンピースの上に、スカートと同じ丈の袖のないチュニックを重ね着するもので、チュニックの両脇には、腰あたりまでスリットが入っているので、ベルトをすると、ちょうど前掛けをしているようになります。

モン族の民族衣装もそうですが、女性の山岳(少数)民族の衣装は、前とおしりの部分に布を垂らして、体の線がはっきり出ないように隠すデザインのものが多くあります。
モン族の年配おばさまたちは、前掛けがないと恥ずかしくて着られないと言っていました。

リス族のこのスリットの入ったデザインも、女性の体を線を隠すという役割があるのかと思います。
スカートの下には、さらに細身のズボン(スパッツ)を履いています。

このリス族の村では、チュニックタイプの民族衣装の方が主流なようでしたが、リス族伝統の民族衣装といえば、肩やえり部分に、カラフルな細いラインの入ったものがあります。

カラフルなラインは、布を細く紐状に切り、それを半分に折りたたみ、少しずつずらして重ねて縫い合わせていくもので、この”重ね縫い”の技法は、リス族の手しごとを代表する技法の一つです。

リス族の製品といえば、この”重ね縫い”を使ったものが多く、『織り人(Orijin)』でも、取り扱いは少ないですが、タイの現地NGOが作っているリス族のペンケースを販売しています。

リス族の”重ね縫い”は、とても手間のかかるものですので、若い人たちを中心に、最近では、気軽に着ることができるチュニックタイプの民族衣装を着る人が増えているのかもしれません。

それでも、どちらの民族衣装であっても欠かせないないのが、後ろ側の先っぽにぼんぼんの付いた赤い紐の束です。
リス語で”馬のしっぽ”と呼ばれているそうですが、これも元々は、後ろのお尻の部分を隠すという意味合いがあったのかと思いますが、今では、このぼんぼんの束を、より多く付けて競い合うのだそうです。

タイの山岳(少数)民族の中でも、おしゃれで知られるリス族の女性たちの多様な民族衣装に比べて、男性陣の民族衣装は、首回りにアルミの装飾の付いた黒い光沢のあるベルベット(ビロード)生地の上着といった単一なものですが、蝶や魚のアルミの装飾をさげている人もいました。

女性の中にも、男性の上着に付けられたアルミの装飾でつくられたベストを着ている人も多くみられました。
その方が、より正装なのかなと思われます。

そして、男性陣もみな、女性たちと同じ、フリンジ(房)の付いたショルダーバッグをさげていました。
リス族やカレン族の人たちも、男性でもショルダーバッグを使うのですが、モン族の男性は、なぜか、ショルダーバッグは女性のもという認識が強く、使っているところを見たことがありません。

帽子も、多くの山岳(少数)民族の人たちの民族衣装には欠かせないものの一つです。

”重ね縫い”の民族衣装の女性の場合は、黒い布を頭に巻き、後ろに、”重ね縫い”の部分と同じようにカラフルな紐の束を付けています。

チュニックの民族衣装の人たちは、ピンクのふさふさを後ろに垂らしたビーズの帽子や、黒い布にビーズで模様をあしらったもの、赤い細い紐がたくさん付けられたものなど、一定の決まりはあるのだと思いますが、様々な装飾の帽子をかぶっていました。

女性陣のカラフルな帽子の中で、男性は白い帽子と決まっているようでした。

スポンジを輪にして、白い布で包んだようなつくりになっていますが、おそらく伝統的には、白い布を頭に巻いていたのではないかと思います。

今回お邪魔したリス族の村の女性たちは、下に紫のズボンをはいている人が多かったですが、長い移動の歴史の中で、使われる色、好まれる色も、国や地域によって異なってきますので、タイ北西部あたりのリス族の人たちの間では、紫が好まれるようになっていったのでしょう。

他にも、例えば、ピンク色の刺繍の民族衣装のモン族の人たちは、ラオスや他の地域などから移住してきたのではなく、タイに古くから住んでいる人たちで、青色を基調とした刺繍のズボンを履いているミエン族の人たちは、タイを起源としている人たちだったりします。

このように、民族衣装の色柄、使われているモノや素材を見れば、その人たちの移住の歴史を少し知ることができるので、とても興味深いです。

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