モン族のお餅

モン(Hmong)族

モン族のお正月に欠かせないお餅

 モン(Hmong)族の人たちと私たち日本人は、祖先が同じ兄弟であるといわれるように、似たような文化をいくつも持っています。その一つが「餅つき」です。モン語では「タオぺー(ン)」と呼ばれます。

 モン族の人たちは、10月の末から11月にかけて「餅つき」をします。「餅つき」が終わったら、収穫した新米を家に運び込みます。新米を食べ始める前には、必ず、先祖に対して儀式をおこない、それから、家族みんなで食べることができるようになるのです。

 臼は、日本のように丸形ではなく、細長い舟形です。男性二人が杵を持ち、蒸かしたもち米を、交互についていきます。しかしながら、最近では、餅つき機をつかうことも増え、臼と杵で手打ちするものは少なくなってきているようです。

モン族のお餅 織り人(Orijin)

白いお餅と赤いお餅

 日本のように白いもち米を使うこともありますが、モン族の人たちは、赤米を使うことが多くあります。つきあがったお餅は、小分けしてバナナの葉に包んで保存しておきます。

 上写真左の赤米のお餅の表面についている黄色いつぶつぶは、卵の黄身です。お餅を小分けにしていく際に、手にくっ付きにくくするために、ゆでた卵の黄身を手に塗り、丸めていくために付いたものです。

 でき上がったお餅は、お正月の間に食べたり、保存食として保存しておきます。

モン族のお餅 織り人(Orijin)

 お正月明けに、ラオスのモン(Hmong)族の村を訪れた時、夕食の野菜を煮ながら、その脇で、保存しておいたお餅を焼いてくれました。久しぶりに集まった親戚たちと、お餅をつまみながら、再会を喜び、近況を語り合っていました。

 まわりはカリカリに香ばしく、中はとろっと熱々でした。日本のように、お醤油などで味付けしたり、汁に入れて食べるのでもなく、お餅そのものの、お米の味を楽しむのがモン族のお餅です。

 モン族の人たちにとって、「お米(新米)」はとても大きな意味を持っています。その新米を食べ始めるためにおこなう「餅つき」。モン族の人たちにとって、新年を迎えるために欠かすことのできないものです。

モン族のお餅 織り人(Orijin)

*写真はすべて筆者撮影(2017年1月撮影)
 ラオス北部のモン(Hmong)族の村にて。

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