きゅうりの種と蔓のアップリケ

リバースアップリケ

モン族の文様は身近な生活の中から

モン(Hmong)族の人たちアップリケ文様の中には、象や犬の足跡、カタツムリの殻、ムカデ、クモの巣など、身近な自然の生き物や植物などをモチーフにしてデザインされたものが多くあります。

カタツムリの殻をモチーフにした渦巻き模様は「家族」を意味し、家族の成長と繁栄を願うものであったり、象の足跡は「豊かさ」の象徴であったり、どちらもモン族の人たちの間でよく使われる文様です。

モン族のリバースアップリケ_織り人

モン族に身近な”きゅうり”

その他に、よく見かけるものに“きゅうりの種”をモチーフにしたアップリケがあります。

刺繍やアップリケの文様のモチーフになるのは、生活の中で身近なものから考え出されることが多く、モン族の人たちにとって“きゅうり”がより身近な野菜であることがうかがえます。

『織り人(Orijin)』でアップリケをお願いしているモンのお母さんもよく作る文様なのですが、彼女が作ってくれるのは、“きゅうりの種”とくるんとした“蔓”の部分を組み合わせたもので、少しオリジナルが加えられていて、人気のある文様の一つです。

針先で上の布を内側に折り込みながら、細かくまつり縫いしていくのですが、種と蔓の曲線の多い文様ですので、熟練の技が必要とされます。

モン族のリバースアップリケ_織り人

モン族のリバースアップリケ_織り人

モン族のリバースアップリケ_織り人

モン料理にも欠かせない”きゅうり”

日本人にとっては、“きゅうりの種”といわれても、“あれ?きゅうりに種ってあったっけ?”ときゅうりに種があること自体を、ましてやどんな形だったかを、すぐに思い出せない人も多いのではないでしょうか。

ただ、“きゅうり”といっても、私たち日本人がイメージするものとはかなり異なっており、もっと太くて大きくて、“瓜”といった方がいいかもしれません。

モン族のきゅうり_織り人 width=

モンの人たちの伝統的な食事には、野菜のスープ(水煮)が欠かせませんが、その時によく使われる野菜が、きゅうり(瓜)やかぼちゃです。

見た目も大きいですが、中に入ってる種も大きく、モンの人たちにとっても印象深い、身近なモチーフになったのだと思います。
文様からそれぞれの民族の食文化まで知ることができたり、文様の意味を知ることは、本当に興味深いことです。

モン族のリバースアップリケ_織り人

モン族のリバースアップリケ_織り人

モン族のリバースアップリケ_織り人