家族を守ってくれるモン族の刺繍文様

伝統文化

その家の家族全員の「無病息災」「家内安全」の願いを込めた文様があります。

 『織り人(Orijin)』で作っているモン(Hmong)族の刺繍の製品の中に、花のような、風車のような文様があります。

 これは、『織り人』プロジェクトで、新しく考えられた文様のひとつです。

 その文様をつかったものには、ポシェットやカードケースなどがあります。

3つファスナーポーチ&ポシェット
刺繍カードケース(両面ポケットタイプ)

*『織り人(Orijin)』オンラインショップで販売しています。

 この文様は、モン語で「ジャイコームア(Txaij qhov muag)」と呼ばれる六角形の竹製の飾りものをモチーフにしています。

 これは、悪霊が入り込んでこないように、家や村の入口、家の中のいろいろな出入り口、台所などに置かれるもので、割いた竹を編んで手づくりされるものです。

 モン(Hmong)族の家族にとって、事故や病気がなく、家族みんなに災いが訪れることなく、健康でいられますように(無病息災/家内安全)、という願いが込められた文様です。

モン族の家の入口やいろいろな出入り口に置かれている悪霊の侵入を防ぐ飾り。
タイ北部モン族の村にて(2017年筆者撮影)

 この文様自体は、昔からあるものではなく、最近新しく考えられた文様ですが、モン族の人たちにとって、今も大事にしているものからイメージしたもので、モン族の伝統文化と深く結びついたものです。

 今現在よく見られる文様は、伝統的な文様でないことも多くなりましたが、そうした新しい文様であっても、そのモチーフとなるものはモン族の人たちの生活に密接に関係したものであり、”モン族”であるということとは切り離せないものなのです。

 刺繍をしているおばさまの後ろの家の入口に立てかけられている悪霊が入り込むのを防ぐモン族伝統の飾り。
タイ北部モン族の村にて(2014年筆者撮影)