モン(Hmong)族の麻糸づくり
民族衣装にしたり、刺繍をしたりする「布」をつくるためには、切れ目のない長い糸が必要です。
そのため、麻などから採取した自然素材の繊維を長くつなぎ合わせる「撚り(より)」の技術が進み、長い糸をつくることができるようになりました。”長い糸”がつくられるようになったことで、人の「衣」の文化が発展していったと考えられています。
そうして、モン(Hmong)族のすばらしい民族衣装もつくられるようになっていきました。
「紡ぐ」と「績(う)む」の違い
綿花や毛などの”短い繊維”の場合は、束にして糸車などで撚りつないでいくことで”長い糸”をつくり、これを「紡ぐ」いい、麻のような比較的”長い繊維”を撚り合わせながらつなげて、”長い糸”をつくることを「績(う)む」と呼びわけているようです。(*1)
麻糸づくり(麻糸績み)には、まず、乾燥させた茎から皮(繊維)をとっていきます。
折り曲げ、4つに分けるのですが、これが簡単そうにみえて、なかなか難しく、うまく4つにわかれず、ぐにゃっと曲がってしまったりします。
4つに分かれたところに、指を入れて割いていきます。
1本の茎から4本の皮(繊維)がとれることになります。
採り出した皮(繊維)は、壁などにかけておき、乾かしながら、撚り合わされる時を待ちます。
麻糸の績(う)み方
綿花や羊毛など短い繊維を「紡ぐ」場合も、麻のような長い繊維を「績(う)む」場合も、「撚(よ)り」をかけ継いでいき”長い糸”をつくり、さらに「撚り」をかけることで、より強く結合した丈夫な糸となっていくのです。
その「撚(よ)り」のかけ方には、大きくは4つの方法があるようですが(*2)、モン(Hmong)族の麻糸の撚り継ぎ(績み)方は、一方を輪っかにして、次の1本を撚り継いでいく方法で、「平たいテープ状の繊維に有効な方法」だということです。
撚り合わせるには、採り出した1本の端の真ん中を割いて輪っかをつくり、その間に次の1本を入れ、輪っかの一方と一緒に撚りをかけ、輪っかのもう一方にも同じ方向に撚りをかけ、最後に輪っかの両方を一緒に、反対向きに撚りをかけると1本につないでいくことができるのです。
モン(Hmong)族の人たちは慣れた手つきで、話をしながら、歩きながら・・・、手元を見ることなく麻糸績みをしています。
撚り合わせて長くなった麻糸は、巻いて麻玉をつくっていきます。
モン(Hmong)族の麻布のプリーツスカートをつくるには、6メートル以上の麻布が必要なため、壁にかけられた麻玉は、人の頭よりも大きくなっています。
麻糸づくりをしているモン(Hmong)族の家々では、一年を通して、いろいろな形の麻がみられます。
*2 道草庵(みちく
さあん)さんのホームページに写真付きで解説されておりとてもわかりやすく、参考にさせていただきました。