伝統民族衣装「ロンジー」の布

 

『織り人』で使っているカレン族の「ロンジー」の布

『織り人』では、モン族やミェン族の”刺繍”や”アップリケ”、カレン族の”織り布”をつかって製品づくりをしています。

”カレン族の織り”といえば、床に座って織る”腰機(地機)”が伝統的なものではありますが、”腰機“では幅の広い布を織ることができません。そのため、カレン族の人たちが日常的に着用している「ロンジー」の布は、高機で織られているものが大半です。

「ロンジー」は、男性用は”パソー”、女性用は”タメイン”と呼ばれ、布の端を縫い合わせて筒状にした、ミャンマー(ビルマ)の民族衣装のひとつです。
その筒状の布の中に入り、男性は、両端をそれぞれの手でつかみ、おへその辺りに持ってきて結び、女性は右または左に寄せて、腰に巻きつけます。

 

 

 

町の市場などでは、筒状に縫い合わせた状態で売っているものもありますが、布端を縫い合わせていない一枚の布のまま売られていることも多いです。幅1メートルのものを、長さ1.8メートルほどに切り分け、小売りされています。

「ロンジー」に使われる布は様々で、普段着用には、安価な綿のプリント生地が好まれ、インドネシアのバティック(ろうけつ染め)布のプリント生地などは人気で、専門に扱うお店もあるほどです。

『織り人』では、高価な布や古布を使うのではなく、ロンジーの布のように、”日常に使われている布”、”人々の生活に密着した布”を使うようにしています。それは、『織り人』製品も、みなさまの日々の生活の中で、身近な存在として日常使いしていただくことを大切に考えているからです。

*『織り人』では、身近な布であってもプリント生地は使わず、織り布、特にカレン族の手織り布を使っています。

 

 

 

民族や生産地によって色柄が異なる「ロンジー」の布

一方、「ロンジー」は正装でもあり、式典や行事など特別な日には、シルクなど高価な織り布で作られたものを着用したり、大学やホテル、会社などの制服であったりします。

また、ロンジーの色は、小学生から高校生は「緑」、看護師は「赤」であったり、波型の模様は、お祝い事などの特別な時のためのビルマ族伝統の文様であったり、シャン州のものは、タイ族の人たちの絣文様が織り込まれていたりします。

「ロンジー」は、職種で色分けされていたり、民族や地方によって文様や色合いが異なっていたり、文様を見れば、どの地方で織られた布なのか、どの民族の布なのか、ということがすぐにわかります。

ただ、このロンジーに使われる布は、特に女性用のものは流行りに影響を受けやすく、伝統的な色柄だけでなく、その時代、時代に合ったものへと変化したり、伝統的な柄と流行りの柄とを組み合わせたり、その組み合わせは無数に広がっていきます。

 

 

現在でも、ミャンマー(ビルマ)国内やタイ西部の国境の町では、まだまだ普段着として、「ロンジー」を身に付けている人を多く見かけます。

経済発展と共に、民族衣装を着用する人たちは少なくなっていきますが、それでもまだ、「ロンジー」が主流であるのは、1988年に社会主義政策から経済開放政策に転じるまで、海外からの洋服などがなかなか入ってこなかったことに加え、「ロンジー」が普段着に適している、または普段着に適するように、うまく変化をとげてきたからと考えることもできます。

 

 

 

カレン族の民族衣装「ロンジー」は民族の”誇り”

カレン族の人たちの民族衣装として使われていたのは、もともとは厚手の草木染めの綿布でしたが、インドネシアや中国など海外からの安価なプリント生地が代用されるようになると、薄くて涼しく、気軽に洗濯ができ、また水浴びなどの時にも、そのまま利用できるなど実用的で扱いやすい、日常服に非常に適したものになっていったのです。
そのことによって、今でも、民族衣装(ロンジー)を着ている人が多いのだと考えられます。

また、民族衣装を着るということは、自らの“民族への誇り”の現われでもあり、カレン族の人たちをはじめ、ミャンマー(ビルマ)の各民族の人たちが、それぞれの民族意識を高く持っていることがうかがわれます。
135の民族が暮らす多民族国家であるミャンマー(ビルマ)において、ロンジーの色柄は民族の数だけ異なるデザインがあり、その”多様性”もまた、それぞれの”民族の誇り”を示しています。